第3巻第1号 ケーススタディ「有床診療所を核とした新しい地域医療ケアシステムの構築」

Date
2008-09-01 (Mon)
Category
論文・機関誌

第3巻第1号(2008年9月号)にケーススタディを掲載しています

PDFファイルにてお配りしております

介護療養病床の転換モデルとしての有床診療所における住宅型有料老人ホームの研究 ~医療法人 梶原内科医院~
梶原健伯 1) 梶原正伯 1) 豊福眸子 1) 窪田昌行 2,3) 山﨑哲男 3,4) 馬場園明 3,5)

【はじめに】

わが国では75歳以上の後期高齢者が急速に増加しており、医療、介護サービスのニーズが急速に増加していくことが予測されている1)。一方、医療、介護サービス等の整備を主導していく国の財源に関して、平成19年末で国の長期債務が838兆円になるとされており、今後の高齢化の進行とともに急増していくと予想される社会保障費全体を見直していかなければならない状況となった。医療費、介護保険費用の効率的、効果的運用を図っていく必要もあり、介護の中心的役割を担ってきた特別養護老人ホーム等の介護施設に補助金をつぎ込んで整備していくことが困難な状況になってきた。
このような中、国は平成18年に医療制度構造改革の一環として、平成24年までに介護療養病床を全廃し、医療療養型病床の大幅削減の方針を出し、これらを老人保健施設やケアハウス、住宅型有料老人ホームといった居住系サービスへの転換を求めている2,3)。現時点では、有床診療所の介護療養病床の転換についての明確な方針はないが、療養病床の転換は、地域の医療を担ってきた有床診療所にとっても大きな課題である。いずれにしても、平成24年までに、有限な医療・福祉資源を効率的、効果的に活用し、高齢者が医療・福祉について安心、安全に生活できる新しい高齢者ケアシステムを構築していく必要がある。
有床診療所は平成19年1月、第5次医療法改正によって、診療所の48時間入院制限が撤廃され、診療所の病床が「その他病床」から「一般病床」となり、医療計画の基準病床に組み入れられた。有床診療所は一時的な入院対応ばかりでなく、急性期から慢性期、終末期まで医療・介護が行える自由な病床としても、地域高齢者の医療ニーズに合わせて対応できる施設に位置づけられてきている。
有床診療所である医療法人梶原内科医院の位置する飯塚市は炭鉱町として栄えた都市ではあるが、その後、雇用の機会は拡大せず、少子高齢化は加速を続けてきた。平成18年3月26日に穂波町、筑穂町、庄内町、頴田町と合併し、面積214.13km2、人口132,204人(高齢化率23.7%)の福岡県で四番目の都市となった。しかしながら、合併後の人口は減少し、団塊の世代が75歳以上後期高齢者となる平成37年には人口が110,487人へ減少していくことが予測される。一方後期高齢者は、現在の1.5倍の2万人に達することが予測されている。梶原内科医院は、昭和54年の設立以来、飯塚市の地域医療に取り組み、急増する高齢者の様々な医療ニーズに対応していく中で、平成10年に有床診療所の19床のうち5床を介護療養病床に転換し、同年、高齢者デイケア事業に参入し、その後も訪問看護、訪問介護等の高齢者介護サービス事業に取り組んできた。さらに、平成18年には、在宅医療支援診療所の登録を行い、地域の在宅医療にも貢献してきた。このような背景のもと、今後平成24年には介護療養病床が廃止される中、住宅型有料老人ホームを平成17年7月に開設し、運用してきた。本事例研究では、住宅型有料老人ホームが、療養病床に入院する高齢者の選択肢となりうるのか、この2年間の実績をもとに検証し、地域の高齢者医療ケアにおける有床診療所の役割と次世代の有床診療所を核とした地域医療ケアのあり方を検討するものである。

1)医療法人 梶原内科医院
2)株式会社CCRC研究所
3)医療福祉経営マーケティング研究会
4)福岡大学大学院法学研究科
5)九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座

全文ダウンロード

Return to Page Top